文科省の財政審反論を読み解く
──運営費交付金をめぐる「数字」と「構造」の本質
このtheLetterでも解説した財務省の財政制度等審議会(財政審)が示した「大学の質の向上」「運営費交付金の見直し」などの提言。
これに対し、文部科学省が明確な反論資料を公表しました。
以下がその資料です。
これもまた、恒例行事になっている感はあり、毎回文科省が反論しているわけですが。
今回の資料も、単なる反論を超え、大学財政の構造的問題を示すものです。
松本文部科学大臣も記者会見で財務省の意見に反論しています
大学は変わるべきなのか、公費はどこまで支えるべきなのか──日本の高等教育政策の核心が、いま問われています。 今回の記事では、文科省の反論内容を整理し、特に「運営費交付金をどう見るべきか」を深掘りしていきます。
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■なぜ文科省は強く反論したのか
財務省の財政制度等審議会(財政審)は、大学教育が「義務教育の延長のようになっている」など強い言葉で問題提起し、大学への公費支援、とくに運営費交付金の在り方について、成果指標の導入や"メリハリ"を求めました。 このメリハリという言葉は、財務省が好むことで知られています。一方、文科省はこれに対し、大学財政の基盤がすでに危機的であることを示しています。
■文科省資料に示されたポイント
・運営費交付金は法人化以降、見かけ上▲1,632億円だが、特殊要因(病院赤字補填、退職手当など)を除くと実質は▲460億円にとどまる、と説明(PDF p.2)
・しかし運営経費(法定福利費・消費増税・光熱費など)の増加約1,450億円を加味すると、実質的には約▲1,900億円の減少と整理している(PDF p.3)
・研究設備の老朽化、人件費の逼迫、若手教員の減少な大学の疲弊が可視化(PDF p.4)
つまり文科省は「交付金が減らされた」ではなく「必要経費が増え、交付金は実質減になっている」と主張しているわけです。
■X上の反応 X(旧Twitter)では、財務省寄りの声も少なくありません。
例:「大学の"成果"をもっと評価すべき。公費投入の透明化が必要」「少子化で学生が減る以上、大学側も構造改革が不可欠」
こうした意見は、おおむね「大学改革を促す財務省の姿勢を支持」するトーンです。大学の“非効率さ”に対する世論の不満がにじみます。
一方、大学関係者からは文部科学省の意見を支持する声が大きい印象です。文科省とともに財務省と闘っていこうという声もあります。
大学教員のみんなも応援しよう!!
文科省と共闘しよう!!!
財政審の意見に文科省が反論するのは恒例行事になっていますが、果たしてこのこう着状態が変わるのでしょうか。
有料部分ではさらに深掘りしていきます。