科学と社会の接点を読む〜2026年1月第3週版 国際卓越研究大学の光と影:研究力強化という名の「歪み」の正体
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今週深掘りするのは、国際卓越大です。
はじめに:10兆円の夢か、劇薬か
日本の研究力低下が叫ばれて久しい今、政府が打ち出した「国際卓越研究大学」制度は、まさに最後の大勝負とも言える規模で進められています。
10兆円規模の大学ファンドを活用し、選定された数校に年間数百億円もの助成を行うこの仕組みは、大学の「稼ぐ力」と「ガバナンス改革」を厳しく求めます。
しかし、その認定を巡る狂騒曲の裏側で、日本の最高学府が抱える構造的な欠陥が次々と露呈しています。
果たして、巨額の資金を投じれば日本の科学技術は復活するのでしょうか。
この冬、立て続けに報じられた三つの出来事は、私たちの期待に冷や水を浴びせるものでした。
今回は、最高学府の腐敗、新設大学の船出、そして先行モデルの綻びという視点から、この制度の真価を問い直してみたいと思います。
不祥事に揺れる最高学府、東大のガバナンス
まず、日本の学術界の頂点に立つ東京大学を襲った衝撃的なニュースを避けて通ることはできません。
2026年1月25日、東京大学大学院医学系研究科の教授が、共同研究に関連して業者から接待を受けたとして、収賄の疑いで逮捕されました。メールマガジンの発行後でしたが、これを取り上げないわけにはいきません。
報道によると、逮捕された教授は特定の企業に対して便宜を図る見返りに、高級クラブや風俗店などでの過剰な接待を要求していたとされています。以下報道をいくつかピックアップします。
大学側はこの事態を重く受け止め、総長名で謝罪メッセージを公表しました。
この事件の衝撃は、単なる一教授の倫理観の問題に留まりません。
国際卓越研究大学の選定において、最も重要視される項目の一つが「ガバナンスの抜本的改革」だからです。
東大は昨年も不祥事を受け、ガバナンス体制を刷新することを公約したばかりでした。
しかし、再び繰り返された汚職。しかも、大麻成分の研究という、社会的にも高い倫理性と透明性が求められる分野での不祥事です。
これほどの醜態を見せながら、「世界トップレベルのガバナンス」を標榜し、巨額の国民負担を原資とする支援を受ける資格があるのでしょうか。
学内からも「これで選ばれなければ……」という不安の声が漏れるのは当然の帰結と言えるでしょう。
最高学府の権威が地に堕ちた今、制度そのものの信頼性が問われています。
ここからは有料会員限定となりますが、認定を受けた「東京科学大」の現状と、先行する東北大で起きている深刻な「若手研究者軽視」の問題について、さらに深く切り込んでいきます。






