【速報】9年ぶりの運営費交付金増額、188億円の"功罪"。令和8年度予算案に見る国立大学の未来地図
2025年12月26日に閣議決定された令和8年度予算案。、国立大学法人運営費交付金は前年度比188億円増の1兆971億円となりました。当初予算での増額は実に9年ぶり。インフレと賃上げに喘ぐ現場にとって久々の朗報ですが、その裏で財務省と文科省の間で交わされたであろう「ある合意」が、大学の形を大きく変える可能性を秘めています。単なる増額ではない、この「188億円」が持つ本当の意味を解説します。
榎木英介(カセイケン代表)
2025.12.26
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数字が語る「国家の意思」、そして現場の安堵
本日(12月26日)、政府は令和8年度(2026年度)予算案を閣議決定しました。科学技術・学術関係者の皆様が最も注目していたであろう「国立大学法人運営費交付金」は、前年度当初比で188億円増の1兆971億円となりました。
東日本大震災の影響を除けば、過去最大の実質増額。そして、当初予算ベースでの増額は平成29年度以来、実に9年ぶりとなります。
これまで「骨太の方針」などで方針が示されていたとはいえ、実際に数字として「増額」が刻まれたことの意義は極めて大きいと言えます。昨今の物価高騰、光熱費の上昇、そして民間企業に後れを取らないための教職員の賃上げ原資……。まさに「乾いた雑巾を絞る」限界に達していた大学経営の現場にとって、この188億円は、まさに干天の慈雨となるでしょう。
しかし、手放しで喜ぶにはまだ早すぎます。
この増額を勝ち取るために、文部科学省、そしてアカデミア側が財務省に何を「差し出した」のか。無料部分では増額の事実をお伝えしましたが、有料部分ではその「代償」と、今後の大学経営に求められるシビアな現実について深掘りします。