変わらぬ財務省〜財政制度等審議会の「文教・科学技術」を読み解く
本日は財務省の財政制度等審議会の資料を読み解きます。
資料のなかに文教・科学技術があります。毎年公開されており、その度に研究者たちを困惑させ、怒らせています。
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財務省が11月11日に開催した財政制度等審議会で、「文教・科学技術」関係の資料を公表しました。毎年秋に出されるこの資料は、来年度予算編成に向けた「財務省の考え方」を示すもので、教育・科学技術・文化分野の方向性を整理しています。
今年のテーマは「人口減少社会における適切なダウンサイジング」です。教育コストを家計と財政のバランスでどう負担するか、質を維持しながら規模をどう調整していくかという点が議論の中心に置かれています。
高等教育では、国立大学の運営費交付金について「競争的資金へのさらなるシフト」や「依存度低下目標の設定」を提案しています。これにより、大学の創意工夫と経営改革を促すとしています。また、教育の質を確保するためには、大学の統合・縮小・撤退を進めることが重要だとしています。
私立大学については、認証評価制度の見直しを提案しています。具体的には、①絶対的な教育の質、②学生への付加価値、③地域・社会で求められる人材育成の観点から評価し、その結果に基づいて私学助成を配分する「メリハリのある制度」への転換を求めています。財務省はメリハリということばが好きですね。入学段階での学力可視化のため、大学入学共通テストの利用を標準化すべきだとも述べています。
科学技術分野では、「研究開発費総額は主要国と遜色ないが、論文生産性は低い」と分析し、若手研究者の登用や研究費配分の柔軟化、国際共同研究の促進などを求めています。今後の科学技術・イノベーション基本計画では、「予算増額ありきではなく、適切なアウトカム目標を設定すること」が必要だとしています。
宇宙開発については、民間主導へのシフトを促す内容です。民間資金の拡大や、JAXA射場の有効活用、ロケット打上げコストの低減を進め、国内外の商業衛星需要を取り込むことを提案しています。
文化分野では、国立美術館や博物館の「公費依存度を下げること」が目標とされました。入場料収入の増加、外国人価格の導入、夜間開館などにより、サステイナブルな経営体質への転換を図るとしています。
以下有料部分では、こうした財務省の主張を批判的に読み解きます。