東大は「赤字」なのか——否定された報道と、否定されなかったもの
本記事は、毎週発行しているメールマガジンで収集したニュースを中心に、科学技術政策関連ニュースを解説します。毎週日曜日に発行予定です。今回は先ごろ閣議決定された第7期科学技術・イノベーション基本計画について深掘りします。
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二〇二六年七月三十一日、日本経済新聞が「東大さえ赤字、足かせ多く稼げぬ国立大学法人」と報じました。続いて八月八日の朝刊には「東大が2年連続赤字へ 『貯金』数年で枯渇、研究者の削減不可避」という見出しが並びます。
日本の大学の代名詞が、資金繰りに詰まって研究者を減らす——衝撃的な話です。
ところが、当事者は揃ってこれを否定しました。東京大学は八月七日、「本学において、研究者数の削減を検討している事実はなく、そのような方針や計画を決定した事実もありません」と公表します。
八月十二日には文部科学省も見解を出し、損益計算書上の赤字は直ちに資金不足を意味しない、東大が資金ショートしている状況ではないと説明しました。
報道の危機感と、当事者の否定。この落差をどう読めばよいのでしょうか。
結論から申し上げると、私は両方とも嘘をついていないと考えています。そして、だからこそ厄介だと思うのです。否定された「研究者削減」は、そもそも誰かが決定する形では起きません。それは、更新されない任期という形で、静かに進むものだからです。
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