「経済安保5割増」の中身を開けたら――内閣府1兆240億円要求と、AI予算に潜り込んだ軍民両用

内閣府の2027年度概算要求は1兆240億円。前年度の1.6倍です。報道の見出しは「経済安保5割増」ですが、内訳を開くと増加額の約8割は遺棄化学兵器の処理費でした。では軍民両用(デュアルユース)はどこにいるのか。答えは「経済安保」の欄ではなく、1,008億円の新規AI予算の中にあります。数字の置き場所を追いかけます。
榎木英介(カセイケン代表) 2026.09.06
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 先週は文部科学省の概算要求を取り上げました。

 今週は、その上流にあたる内閣府です。文科省が「実施官庁」だとすれば、内閣府は科学技術政策の司令塔にあたります。総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)を抱え、基本計画を書き、各省の予算に横串を刺す立場です。ですから内閣府の要求書は、金額の大きさよりも「政府が何を科学技術政策の中心に据えたか」を読むための資料だと私は考えています。

 その内閣府の令和9年度(2027年度)予算概算要求は、一般会計で1兆240.0億円。前年度の6,309.1億円に対して3,930.8億円の増、実に1.6倍です。

 令和9年度 予算概算要求の概要(内閣府)  https://www.cao.go.jp/yosan/soshiki/r09/gaiyou_r09.pdf

 この要求について、日本経済新聞は「内閣府、経済安保予算5割増を要求 軍民両用技術の支援拡大へ」と報じました。

 たしかに「経済安全保障の強化と国民の安全・安心の確保」という柱は、615.2億円から956.7億円へ、341.5億円の増額要求です。率にして約56%。見出しの「5割増」に嘘はありません。

 ただ、私は要求書の表を一行ずつ追っていて、少し違う光景を見ることになりました。その341.5億円が、いったい何に積まれた増額なのか。そして本命であるはずの軍民両用技術の予算は、実は「経済安保」の欄には入っていないという事実です。

 ここから先は、数字の置き場所の話をします。予算は、どの項目にいくら積まれたかと同じくらい、「どの見出しの下に置かれたか」が政治的な意味を持つからです。

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