「博士に未来はあるか」〜NISTEPの第5次追跡調査が示す、改善と分断の複雑な現実

NISTEPが2026年5月に公表した「博士人材追跡調査」第5次報告書は、2021年度修了コホートの1.5年後の就業実態を示しました。理工系の産業界就職は拡大傾向にありますが、アカデミアでは任期付きポストが依然として約7割を占めます。人文・社会系の雇用不安定は際立ちます。本報告書はJGRAD廃止直後の公表であり、その文脈を踏まえた読解が必要です。
榎木英介(カセイケン代表) 2026.05.31
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 今日取り上げるニュースは、メルマガ発行後に公表されていましたが、重要なので先取りでご紹介します。

 文部科学省・科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が2026年5月29日、「博士人材追跡調査」の第5次報告書を公表しました。

 この調査は「JD-Pro(Japan Doctoral Human Resource Profiling)」の通称で知られる縦断的コホート調査であり、博士課程修了者のキャリアパスを数年にわたって追跡するものです。今回の第5次報告書は、2021年度に博士課程を修了した者を対象に、修了から1.5年後の時点(2023年実施)の状況を調べたものです。

 「博士号を取っても仕事がない」——そうした言説が日本社会で流布されるようになって久しいです。本報告書はその問いに、どう答えているのでしょうか。結論を先に言えば、「改善もあるが、分断も深まっている」というのが正直な総括です。

 なお、本報告書はクリエイティブ・コモンズ表示ライセンス(CC BY 3.0)のもとで公開されています。本稿では以下の出典表記に従い引用します。

第1調査研究グループ「「博士人材追跡調査」第5次報告書」NISTEP Research Material No.356、文部科学省 科学技術・学術政策研究所、DOI: https://doi.org/10.15108/rm356

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