博士2万人・テクニシャン倍増の野望──人材育成システム改革ビジョンを読み解く
本記事は、毎週発行しているメールマガジンで収集したニュースを中心に、科学技術政策関連ニュースを解説します。毎週日曜日に発行予定です。今回は先ごろ閣議決定された第7期科学技術・イノベーション基本計画について深掘りします。
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高市政権が立ち上げた日本成長戦略会議については、以前のニュースレターでも報じました。
その人材育成分科会が令和8年4月28日、「高校から大学・大学院等を通した人材育成システム改革ビジョン」を取りまとめました(文部科学省資料: https://www.mext.go.jp/content/20260203-mext-kanseisk01-000049604_1.pdf )。
高校の文理分断解消から大学の理工系定員拡充、リスキリング推進まで幅広い内容です。
何が決まったのか
ビジョンの全体像は「人への投資の好循環」を合言葉に、経済成長に必要な人材を供給サイドから作り出すという構造を取っています。
主なKPIを整理すると、次の通りです。
専門高校の生徒数を少子化のなかでも現水準(2025年度:657,457人)に維持(2040年)
普通科高校の文系・理系比率を同程度に(2040年。現在:文系51.4%、理系30.8%)
大学全体に占める理工農・デジタル・保健系の定員を5割に(2040年。現在:35%)
高等専門学校の学生数を少子化のなかでも増加(2040年)
大学・専門学校等でのリスキリング人口を60万人/年に(2030年。現在:合計約11万人)
博士課程入学者数・博士号取得者数を2万人/年に(2030年度。現在:入学者数16,212人・取得者数15,345人)
大学の研究者1人当たりのテクニシャン数の倍増(2035年。現在:わずか0.05人)
これらは戦略17分野(量子、航空・宇宙、創薬、半導体など)を支える人材を、高校から大学院まで一体的に育てるという大きな絵の中に位置づけられています。
それぞれが大きな論点であり、高専や理系人材の問題は個別に論じる必要のある部分ですが、今回は「博士課程入学者数・博士号取得者数2万人/年(2030年度)」と「大学の研究者1人当たりのテクニシャン数の倍増(2035年)」という二つのKPIに着目します。これらは、日本の研究基盤にとって何を意味するのでしょうか。


