科学と社会の接点を読む〜2026年3月22日版 霞が関に博士が増えている――でも、まだ足りない 政府機関における博士号取得者採用の現状と課題

内閣府が2026年3月に公表した最新調査によれば、2025年4月に府省等に採用された博士号取得者は60人。前年の59人からわずかに増加したものの、採用省庁は依然として限られています。「博士人材3倍計画」を掲げる日本政府は、自らが率先して博士人材の登用を進められるのか。国際比較とともに検証します。
榎木英介(カセイケン代表) 2026.03.22
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「博士60人」の意味するもの

 2026年3月5日、内閣府科学技術・イノベーション推進事務局が一つの調査結果を公表しました。

 タイトルはいかにも官僚的で地味ですが、中身は日本の科学技術政策の根幹にかかわる、なかなか重要なデータです。

 令和7年(2025年)4月1日現在において、府省等において採用された博士号取得者は60人。修士号・専門職学位取得者は482人。

 この「60人」という数字、どう見ればよいのでしょうか。

 比較対象として、前年度を確認しましょう。令和6年(2024年)4月1日現在において、府省等において採用された博士号取得者の総数は59人。

 さらに遡ると、令和5年(2023年)4月1日に1人以上の博士号取得者を採用した府省等は10府省等であり、特に厚生労働省と防衛省で20人を超える採用がありました。

 年を追うごとに、少しずつ増えている…。それ自体は好ましい傾向です。けれども数字をよく見ると、いくつかの問題が浮かび上がってきます。

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