科学が政治に征服された国〜ハンガリーの16年と再建への道
本記事は、毎週発行しているメールマガジンで収集したニュースを中心に、科学技術政策関連ニュースを解説します。毎週日曜日に発行予定です。今回は先ごろ閣議決定された第7期科学技術・イノベーション基本計画について深掘りします。
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今回の記事では、メルマガでピックアップした記事のなかから、ハンガリーの科学技術政策についてとりあげたいと思います。
病理診断を専門とする私にとって、ハンガリーはひとつの特別な意味を持つ国です。世界の解剖率(病院内で死亡した患者を剖検する割合)を比較した研究によれば、ハンガリーはかつて100%近い解剖実施率を誇っていました。
1938年から1951年のハンガリーの解剖率は100%に達しており、1992年から2002年においても68.9%を維持していました。同時期のフランスが3.7%、アメリカが12.4%であったことを考えると、この数字の突出ぶりがよくわかります。日本でも解剖数は1985年の4万680件をピークに、2022年には6557件まで減少しています。ハンガリーの剖検文化は、医学教育と診断精度の両面において、欧州における特異な存在感を放っていました。 Wiley Online Library
また、ハンガリーの医学部は外国人留学生の受け入れでも知られています。セーメルワイス大学(ブダペスト)では1983年からドイツ語プログラムが、1989年から英語プログラムが開始されており、40年以上にわたって国際的な医学教育を提供してきました。現在、医学部への入学者の半数以上が留学生であり、英語課程で約30%、ドイツ語課程で約25%の学生が学んでいます。日本を含む世界各国の医学生が、EU基準の医学教育を受けるための選択肢として、ハンガリーは長く機能してきました。 Times Higher EducationSemmelweis Egyetem
数学・物理・医学でのノーベル賞受賞者を輩出してきた知的土壌とあわせて、ハンガリーは人口規模(約1000万人)であることを考えると、とても豊かな科学的遺産を持つ国だといえます。
そのハンガリーで今、大きな政治的転換が起きています。



