米中間選挙の「STEMウェーブ」と、日本で科学者議員が生まれない理由

2026年11月3日の米中間選挙で、民主党の医師・科学者・技術者が相次いで当選しました。上院には約60年ぶりに民主党の医師が2人並び、下院や州知事にも数学者や微生物学者が加わります。推進団体は「STEMウェーブ」と呼びます。本稿では当選者の顔ぶれを紹介し、日本でなぜ科学者議員が生まれにくいのかを考えます。
榎木英介(カセイケン代表) 2026.11.05
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白衣の議員が上院に並ぶ

 11月3日に投開票された米国の中間選挙で、民主党が上下両院の多数派を奪還しました。トランプ政権にとって大きな打撃ですが、私が目を奪われたのは別の点です。医師や科学者が、まとまって議会に送り込まれたのです。

 医療専門メディアSTATは、選挙の「勝者と敗者」を分析する記事の冒頭で、民主党の医師たちを最大の勝者に挙げました。民主党の医師が上院に2人並ぶのは、60年近くなかったことだといいます。

 サウスカロライナ州では小児科医のアニー・アンドリュース氏が番狂わせを演じ、ミシガン州では疫学者で元デトロイト市保健局長のアブドゥル・エルサイード氏が議席を得ました。一方、共和党は肝臓専門医のビル・キャシディ氏、産婦人科医のロジャー・マーシャル氏という2人の医師議員を失いました。

 科学者の立候補を支援する政治団体「314 Action」は、この結果を「STEMウェーブ」と呼びました。団体名は円周率の3.14に由来します。

 背景にあるのは、ケネディ厚生長官の下で進んだワクチン政策の転換や、連邦の研究機関・保健機関の大幅な人員削減です。科学が政治に踏みにじられたと感じた人たちが、白衣のまま選挙に打って出た。その結果がこれでした。

 実は私は、2017年から2018年にかけて、Yahoo!ニュース個人(現・エキスパート)で米国の科学者の立候補を何度か取り上げてきました。あれから8年、流れはここまで大きくなったのです。

 では、今回どんな人たちが当選したのか。そして、なぜ日本では同じことが起きないのか。有料部分で詳しく見ていきます。

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