「旧スタッフ」という言葉が示すもの――北大「組織的アカハラ」認定と講座制の亡霊
本記事は、毎週発行しているメールマガジンで収集したニュースを中心に、科学技術政策関連ニュースを解説します。毎週日曜日に発行予定です。今回は先ごろ閣議決定された第7期科学技術・イノベーション基本計画について深掘りします。
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4平方メートルの部屋
2024年5月、ある記事が社会に大きな衝撃を与えました。北海道大学の50代の准教授が、約4平方メートルの部屋で、たった一人で研究を続けているというのです。毎日新聞の鳥井真平記者による報道でした。
所属研究室の教授が定年退職したあと、准教授は研究室にいられなくなり、学生の指導もできなくなったとされます。民間企業で問題になってきた、いわゆる「追い出し部屋」が、大学の中にあったのです。
鳥井記者はその後も、この問題を粘り強く追い続けてきました。一連の記事は、毎日新聞の連載「研究現場のリアル」から読むことができます。
そして2年あまりが過ぎ、この問題にひとつの区切りがつきました。
教授会が「加害者」と認定された
北大のハラスメント対策室は2026年7月、理学研究院化学部門の教授会にあたる「講座委員会」の対応を、「組織的なアカデミックハラスメント」と認定していました。9月30日の鳥井記者執筆の記事でこの事実が明らかになり、他の報道機関も報じるようになりました。
当初回答を控えていた北大も、10月1日に認定を認め、報道機関に説明しました。
講座委員会は2020年度、教授が不在となった研究室に残った准教授らを「旧スタッフ」と位置づけ、居室を移し、学生を配属しないという内部基準を決議したとされています。実際、2021年度から24年度まで、学生は配属されませんでした。
教授個人ではなく、教授会という合議体によるハラスメントが認定されたのは、日本で初めてのケースとみられます。
関芳弘文部科学大臣は10月2日の記者会見で、「ハラスメントにつきましては、本当にあってはならないもの」「このような事案が生じたことは誠に遺憾」と述べました。そのうえで、「実効性のある再発防止策を含めまして大学において適切な対応が図られてまいりますように必要な指導・助言を行ってまいりたい」との考えを示しました。
私も鳥井記者の取材を受け、「流動性の低い日本の雇用システムが生んだ構造的な問題だ」とコメントしました。
問題の根は「講座制」にある
「旧スタッフ」。この言葉に、問題の本質が凝縮されています。准教授とは、教授の「スタッフ」なのでしょうか。
背景にあるのは、日本の大学、とりわけ理系に根深く残る「講座制」です。法令上はすでに消えたはずの仕組みが、なぜ人を追い出す道具になったのか。ここから先は、経緯と構造を掘り下げ、何を変えるべきかを考えてみたいと思います。
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